呼吸器科

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呼吸器科のご紹介

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呼吸器科とは?

呼吸器には、鼻腔、咽頭、喉頭、気管・気管支、肺、胸膜腔が含まれます。この部位は呼吸を行うにあたって、酸素を取り込み二酸化炭素を排出するためのとても重要な器官です。呼吸器科ではこの部位に異常が生じてしまった患者様に対して専門的な知識および技術でサポート致します。また呼吸器は獣医療においてはまだマイナーな分野であり、一般の動物病院では診断や治療が困難なケースが非常に多いと思われます。そのため、どんな些細なことでも呼吸器に関することであれば何でもご相談ください。

呼吸器系の病気と症状

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代表的な呼吸器疾患 犬と猫に多い病気一覧

犬では鼻腔疾患、咽喉頭疾患、気管・気管支疾患、肺疾患が、猫では鼻腔疾患、気管・気管支疾患、肺疾患が多く発生します。以下に各部位で発生の多い疾患について記載いたします。

  • 鼻腔腫瘍
    犬および猫で最も発生の多い鼻腔疾患の1つです。犬および猫ともに高齢(10歳前後)での発生が多いですが、猫では若齢〜中齢(4-6歳)での発生もみられます。腫瘍のほとんどが悪性であり、腫瘍のタイプによって治療方法も異なります。
  • 鼻炎
    鼻炎は感染性と非感染性に大別されます。感染性とは、細菌、ウイルス、真菌といった感染体により発症する鼻炎を表します。それに対して、非感染性はアレルギー反応や自己免疫反応といった感染を主な原因とはしない鼻炎を表します。鼻炎は一般的に内科療法で治療することが多いですが、鼻汁の貯留により鼻詰まりが重度の場合には麻酔下での鼻腔洗浄を行う必要があります。
  • 短頭種気道症候群
    主に犬で発生の多い疾患です。短頭種とされている品種では先天的あるいは後天的な解剖学的異常により鼻腔〜気管にかけての気道が狭窄してしまい呼吸障害を呈する疾患です。短頭種には、フレンチ・ブルドックやパグが一般的に含まれますが、日本ではチワワやポメラニアンも含まれます。
  • 喉頭麻痺
    中〜大型犬、特にレトリーバー種で発生の多い疾患です。喉頭を支配している神経が加齢に伴い変性してしまうことで、喉頭の機能が低下してしまい呼吸障害を呈します。神経の変性は不可逆的のため、通常は対症療法により管理を行いますが呼吸障害が重度の場合には外科療法も選択されます。
  • 鼻咽頭狭窄
    猫で発生の多い疾患です。慢性的な炎症が鼻咽頭に発生することで膜を形成し狭窄する疾患です。鼻詰まりが主な症状であり、くしゃみや鼻汁などの症状は消失しているケースが多くみられます。狭窄部位はバルーンを用いた拡張術での治療が必要となります。
  • 気管・気管支虚脱
    中高齢の小型犬で主に発生します。気管・気管支を形成している軟骨が加齢に伴い変性してしまう疾患です。症状は主に咳であり、内科療法により管理します。しかし、呼吸障害が重度の場合には外科療法が適応になることがあります。
  • 下気道炎症性疾患
    慢性気管支炎、喘息、細気管支炎といった気管支に発生する炎症性疾患の総称で、猫で発生する咳の最も多い原因です。これら疾患を診断するには、全身麻酔下での気管支鏡検査により炎症のタイプを判別するする必要があります。
  • 間質性肺疾患
    肺実質の間を形成する間質において炎症が発生し、肺の拡張不全や酸素の取り込みに異常をきたす疾患の総称です。獣医療では病態に関する詳細は不明のままですが、多くは特発性であり、肺線維症の発生が多いと考えられています。診断は困難なことが多く、専門的な知識が必要となります。

呼吸器系の異常サイン 飼い主が気をつけるべき症状

  • 鼻汁/鼻出血/鼻詰まり
  • くしゃみ/逆くしゃみ
  • 呼吸音がする(ズーズー、ゼーゼー、ガーガーなど)
  • 声枯れ/変声
  • 飲水時/飲食時のむせ
  • 呼吸促迫
  • 努力呼吸

診断方法

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呼吸器系疾患の診断プロセス どのようにして病気を見つけるのか

呼吸器疾患を診断する上でまず重要なことは、問診においてそれぞれの患者様にどのような問題点があるかを理解することです。呼吸器疾患は、問診の時点で病変部位の特定を行うことが可能なケースが多いです。そのため、問診時には症状がいつから発症したのか、頻度はどのくらいかなど詳細にお話をお伺いさせて頂きます。そしてこれら問診の情報を基に、それぞれの患者様に沿った検査をご提案させて頂き、診断を行っていきます。

使用される検査方法 レントゲン、血液検査など

呼吸器疾患の診断で最も重要なX線検査を始め、喉頭や肺を評価する超音波検査、血液中の酸素分圧や二酸化炭素分圧を測定し気道閉塞の有無や肺機能を評価する血液ガス分析装置を有しています。さらに、一般の動物病院では導入されることの少ない細径内視鏡を有しているため、小型犬や猫から大型犬までの大部分の症例で鼻腔、咽頭、喉頭、気管・気管支、肺の精査が可能です。

診療の流れ

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初めての方へ 診療の流れと注意事項

呼吸器科専門診療は飼い主様から直接もしくはかかりつけ動物病院様よりご紹介して頂くことで予約可能です。またかかりつけ動物病院様よりご紹介の場合には紹介状やこれまでの検査データをお持ち頂けますと幸いです。問診では呼吸器症状の動画がありますと診断により近づけますので可能な範囲で撮影をお願いいたします。

呼吸器科初診の患者様では、身体検査、血液ガス分析、X線検査は必須検査として実施させて頂きます。また疑われる疾患によっては、血液検査、超音波検査などその他の検査もご提案させて頂きます。検査の内容次第では一時的にお預かりさせて頂きますのでご注意ください。また初診時では麻酔を用いた検査は実施いたしません。麻酔検査が必要な患者様には別日での実施をご提案させて頂きます。

治療とケア

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呼吸器系の治療オプション 投薬から手術まで

呼吸器疾患の多くは薬剤(経口薬)を用いた内科療法で症状の管理を行なっていきます。また内科療法には、経口薬以外にも点鼻薬、吸入薬、注射薬、ネブライザー療法といったさまざまな種類が存在します。そのため、患者様の性格やご家庭のご事情などをしっかりと考慮し、最適な治療プランをご提案させて頂きます。

また一部の呼吸器疾患では、麻酔下での治療(鼻腔洗浄や鼻咽頭バルーン拡張術など)あるいは手術が必要なケースがありますので、その場合は合併症を含め丁寧にご説明させて頂きます。

家庭でのケア方法 呼吸器系の健康をサポートするために

呼吸器疾患では、内科療法や外科療法による治療だけではなくご家庭での管理もとても重要になります。まず重要なことは体重管理です。肥満は呼吸器疾患の原因になることが多く、また呼吸器症状を悪化させる重要なリスク因子にもなります。そのため、呼吸器疾患にさせないあるいは進行させないためにも、日頃から体重管理を徹底して頂ければと思います。

また呼吸器疾患の原因にはアレルギーが多く見受けられます。アレルゲンには煙草やハウスダスト、香水、草花、お線香などさまざまなものが含まれます。しかし、原因となっているアレルゲンを特定することは非常に困難であり、原因として可能性のあるものを1つずつ除外していく必要があります。そのため、呼吸器疾患を有している場合はもちろんのこと、予防的に日頃からアレルゲンに触れないよう気を付けて頂ければと思います。

上記以外にも、それぞれの疾患によって気を付けて頂くことがありますので、病気の説明の際にしっかりとご説明させて頂きます。